2013年8月26日月曜日

搾り取る力

港の市場で男たちが力くらべをしていた。
筋肉隆々、腕まわりが赤ん坊ほどもある男が
レモンを握りつぶすと果汁があふれ出し、
レモンはすっかりしなびてしまった。

「あいつにゃあ、誰も勝てやしねえ」。
みなが感嘆していると、足はフラフラ、息は
ゼエゼエの色白な初老の男がそのレモンを握った。
途端、世界中の雨がいっぺんに降ったかのように
果汁が飛び出し、レモンはすっかりカラカラに
干上がってしまった。

「ジイさん、あんた何者だい?」。
まわりに聞かれると、男は
「いえ、ナニ、税務署に勤めておりまして…」

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