信心深いワトキンス婦人が目を覚ますと、昨夜からの大雨で川が氾濫し、すでに1階は
水没していた。2階の窓から表を覗くと、水位はさらに上がってきていた。
そのとき、窓の外をボートに乗った男が通り掛かり、家の中の婦人を見つけて叫んだ。
「このボートにお乗りなさい!」
すると婦人はにこやかに言った。
「きっと神様が助けてくださいます。どうか構わずに行ってください」
夕方になると2階も水没してしまい、婦人は屋根の上に避難した。そこに別のボートが
通りかかり、屋根の上の婦人に向かって叫んだ。
「早くこのボートに!」
しかし婦人はにこやかに言った。
「きっと神様が助けてくださいます。どうか構わずに!」
夜になるとさらに水位が上がり、婦人は屋根のてっぺんの避雷針につかまって、どうにか
流されずにいた。そこにまた別のボートが通り掛かり、婦人に叫んだ。
「流されてしまいますよ!早くこちらへ!」
それでも婦人はにこやかに言い放った。
「きっと神様が助けてくださいます。大丈夫!」
しかしやがて婦人は力尽き、溺れて死んだ。
天国に着いたワトキンス婦人は、神様に会わせてもらうよう、天使に頼んだ。
神様の前に立った婦人は、少し責めるような口調で言った。
「神よ、なぜ私をお助けにならなかったのですか?」
すると神様は厳かに答えた。
「だから3回もボートを送ったではないか」
0 件のコメント:
コメントを投稿